PEG・PTEGとは
口から食事のとれない方や、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすい方のために、直接胃や食道に「口」を作り、そこから栄養を入れる栄養投与の方法があります。
PEGやPTEGはその「口」を作る手術のことをいいます。
■ PEG (ペグ) 経皮内視鏡的胃ろう造設術
■ PTEG (ピーテグ) 経皮経食道胃管挿入術
安心安全な栄養管理を
鼻・のどを通して胃にチューブを入れて栄養剤を注入する方法もありますが、この方法では、
①鼻・のどの違和感があり、自分で抜いてしまう可能性が高い
②だ液をうまく飲み込めず、気管支炎・肺炎を起こす可能性がある
③チューブを隠せない(外から見える)
④鼻翼に潰瘍を形成する
等の問題があります。そこで、それらの問題を解消する栄養投与法がPEG・PTEGです。
適用疾患 | |
嚥下障害 | 脳血管障害 パーキンソン病 種々の神経・筋肉疾患 痴呆 |
術後栄養障害 | |
消化器系疾患 | クローン病 |
減圧治療 | がん末期 |
PEG・PTEGの利点
・ PEGはしっかり固定されていますので、抜ける心配はほとんどありません。PTEGは特別な固定はしていませんが自然に抜ける心配はほとんどありません。
・ 違和感が少ないので自分で抜いたりせず、手足を縛られるような苦痛が少なくなります。
・ 操作は簡単で、自宅でも介護が容易です。
・ PEG・PTEGを造っても鼻やのどにチューブが通っていないため食事ができます。むしろ、食べるリハビリに適しています。食べたものがろうから出てくる心配もありません。
・ 口から十分に栄養が摂れるようになったらPEGやPTEGは抜去できます。抜去したその日からでも食事ができ、そのあとの穴は自然にふさがりますので心配ありません。
・ シャワーはもちろん、全身湯船につかっても全く支障ありません。
・ 運動などのリハビリに支障ありません。
PEG (ペグ) 経皮内視鏡的胃ろう造設術
PEGとは、Percutaneous Endoscopic Gastrostomyの頭文字をとったもので、経皮内視鏡的胃瘻造設術といいます。管理が容易であること、患者さまの苦痛が少ないことから、欧米でまたたく間に普及し、長期経腸栄養の標準的な投与ルートになっています。
PEGは、口から食事のとれない人、飲込む力の無い人のために、直接胃に栄養を入れるためのおなかに小さな「口」を作る手術です。
内視鏡的に行いますから、おなかに5~6mm程度の傷がつくだけで、出血もほとんど無く、手術も5分から10分程度で終ります。苦痛を軽減するため局所麻酔と鎮静剤の注射をして行います。手術後は多少痛みますが、軽い痛み止めで取り除くことができます。その後、痛みも和らぎ違和感もほとんど無くなります。
PEGの手順 | |||
1 | 穿刺部位決定 | 内視鏡下で穿刺部位を決定する。 | |
2 | 局所麻酔 | 試験穿刺で胃壁えお貫通させ、刺入部位の確認をした後、局所麻酔を行う。 | |
3 | 穿刺 | ボタンを引き込むためのガイドワイヤーを通す針を腹壁から胃内に刺入し腹壁の厚さを測り、ボタンの長さを決定する。ガイドワイヤーを挿入して内視鏡で捕まえ、口から引っ張り出す。 | |
4 | ガイドワイヤーとボタンを結ぶ。 | ||
5 | ボタンを引き込む | シャフトの糸を引っ張り、ボタンのキャップ部分を取り出す。 | |
6 | 胃壁と腹壁の密着 | スペーサーディスクを用いて、術直後の胃壁と腹壁を密着させる。 | |
施術後 | お腹に造った「口」から流動栄養を直接胃に注入。 |
PEG (ペグ)経皮内視鏡的胃ろう造設術
PTEGとは、Percutaneous Trans Esophageal Gastrotubingの頭文字をとったもので、経皮経食道胃管挿入術といいます。日本で開発された手技で、まだ歴史が浅く、広く普及するには至っていませんが、PEG困難例にも施行可能で内視鏡を用いないなどの利点があります。PTEGは、頚部食道(左鎖骨の上数cm付近)にエコー(超音波)と透視で確認しながら食道瘻を作成し、そこに長いチューブを留置して先端を胃に開孔させる手術です。 胃切除術後や有腹水例等でPEGが行えない方にPTEGを行います。手術は30分程度で終わり、入院も1週間程度です。頸部の自由度が向上し、QOLが改善されます。
PTEGの手順 | |||
1 | 挿入 | 鼻からガイドワイヤー・穿刺用バルーンカテーテルを挿入し、バルーンを食道内で拡張させ、入口まで引っ張り上げる。 | |
2 | 穿刺 | エコー下で、バルーンを穿刺し、ガイドワイヤーを挿入。 | |
3 | 誘導 | バルーンを縮めてカテーテルを肛門側へ進め、ガイドワイヤーをリリースする。 | |
4 | ダイレーション | 穿刺部に小切開を加え、穿刺ルートを拡張する。 | |
5 | 留置 | 留置カテーテルを胃内に挿入。造影剤を注入し食道への逆流がないことをX線透視で確認。1針縫合固定する。 | |
施術後 | のどの近くに造った「口」から流動栄養を直接胃に注入。 |
井野病院 内科 日本消化器内視鏡学会 指導医 森本 真輔
詳しくは、井野病院受付へお問い合わせください。