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総胆管結石症 -内視鏡による結石治療-

胆道結石とは

胆汁とは

胆汁は食事でとった脂肪の分解に関わっています。肝臓で作られ、胆のうで濃縮されて、胆管を通って十二指腸へ流れます。

胆道結石とは

この胆汁の中に含まれているコレステロールやビリルビンが結晶となり、大きくなってできたかたまりのことをいいます。以下のように結石ができた場所によって呼称が違います。

■ 胆のう内にできたもの⇒胆のう結石
■ 肝臓内の胆管にできたもの⇒肝内胆管結石
■ 胆のうから総胆管、総胆管にできたもの⇒総胆管結石 
この胆汁を流す道にできた結石は、まとめて胆道結石と呼ばれています。

症状

胆道結石は、症状が全くない場合もありますが、結石が胆のうの出口や胆管の十二指腸への出口にはまってしまうと痛みが生じます。
また、脂っこいものを食べた後にみぞおち辺りが痛んだり、血液検査でGOT、GPT、LAP、γ-GTP、ALPの上昇が見られたりすると胆道結石が疑われます。

 

治療方法

胆道結石の治療は結石がどこにあるかによって治療方法が以下のように異なります。

1 胆のう結石 腹腔鏡を用いて胆嚢を摘出します
2 肝内胆管結石 ・開腹手術
・皮膚に細い内視鏡が通るルートを作り、内視鏡で見ながら結石を砕いて採ります
3 総胆管結石 内視鏡を使用して十二指腸乳頭を介して結石を砕いて採ります

 

内視鏡による総胆管結石治療

『内視鏡的乳頭切開術及び総胆管結石除去術』

総胆管結石症の中心的な治療法です。特に高齢者や重い病気のために外科手術に耐えられない人には第一に選択されます。近年はシステムも処置具も大きく進歩しています。

1 十二指腸用の内視鏡を口から挿入し、食道、胃を通して十二指腸乳頭まで進めます。
2 カニューラと呼ばれるチューブ状の機器を通して造影剤を胆管及び膵管に注入してX線で撮影します。胆・膵管内の結石の場所や大きさを特定します。
3 胆管結石を確認後、十二指腸乳頭を専用の電気メスで切開します。
4 十二指腸乳頭からカテーテルを挿入し、結石の大きさに合わせて、細かく破砕したり、そのまま十二指腸に引き抜いたりして採石します。

  
                                       カテーテルで結石を十二指腸まで引き抜いたところ

 

ステント留置  内視鏡下胆道ドレナージ術

薬剤の局所注入法総胆管結石では、結石を完全に除去するのが理想ですが、高齢で基礎疾患を有する人は長時間の内視鏡処置に耐えられない事があります。その場合、結石はそのままにして、胆管内にチューブステントを留置する(写真1.2)だけで経過をみることも次善の治療法として選択されます。

CT撮影 写真1 写真2

また、胆管にできた結石のために胆管の重篤な炎症が起こった場合、ショック状態に陥り、急速に死に至る可能性があります。その場合、緊急で胆管にチューブを留置して膿性胆汁を排出する処置を行います。

これらのように、患者様の容態に応じた対応を臨機応変に行っています。

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総胆管結石は緊急の治療が必要となることが多い病気です。内視鏡による治療で身体への負担が少なく、速やかに総胆管結石を除去できます。 

 

井野病院 内科 日本消化器内視鏡学会 指導医 森本 真輔

詳しくは、井野病院受付へお問い合わせください